Ole・Wanscher
オーレ・ヴァンシャー


家具を建築の一つとして考え、プロポーションとフォルムを重視したオーレ・ヴァンシャー。王立芸術アカデミーで師事したコ-ア・クリントの事務所で、1924年から27年まで仕事をし、その後家具デザイナーとして独立します。また、コーア・クリントの後継者として王立芸術アカデミーの主任教授に就任し、デザイナー教育にも力を注いでいます。  デンマークの新聞ポリティーケン紙は1958年、オーレ・ヴァンシャーの家具について次ように記しています。「オーレ・ヴァンシャーの椅子を購入すると、それから何百年も毎日、毎日その椅子に座ることになります。なぜなら彼の椅子はそれだけのすごい耐久性を備えています。」  オーレ・ヴァンシャーの代表作のほとんどが、1940年から1950年代前半にかけて発表されています。機械生産が可能な、高品質の家具が求めらる中この課題に真っ向から取り組み、数々の製品をデザインしていったのです。 「デザイン家具をすべての人に」という気運がデザイナーの間にも当時高まっていました。その一方、オーレ・ヴァンシャは著名な工房と協力のもと、そのほとんどが手作業で製作される高級家具も発表しています。  また、欧州各国、エジプトを旅行し各地で家具デザインを研究し、そこで得たインスピレーションを家具デザインにいかしています。さらに、オーレ・ヴァンシャはMøbelkunstens Historie i Oversigt (家具の歴史概要、1941年)、 Møblets Æstetik (家具の美学、1985年)をはじめ数多くの家具に関する書物も執筆しています。家具デザインにおいてオーレ・ヴァンシャが追求してきたのは、軽快で優美なフォルムと言えます。エレガントにカーブを描き、流れるように前脚と一体になるアームを持つ椅子がたびたびデザインされています。その一例が「コロニアルチェア」です。クラシックさとモダンさを兼ね備えた、オーレ・ヴァンシャの代表作といえるアームチェアです。