Mogens・Koch
モーエンス・コッホ


モーエンス・コッホの建築家、そしてデザイナーとしての大きな特徴は、求められる機能を最優先するという点です。 また、建造物、テキスタイル、カトラリー、家具と、何をデザインするであっても、シンプルさを追求しました。特に家具に おいては、スマートで画期的な解決策、最適な機能性、快適さや美しさを追求した家具を発表しています。モーエンス・コッホは当初から機能主義のデザイナーとして際立っていました。コッホは1925年から1932年まで、 アシスタントとして様々なデザイン事務所に勤務し経験を積みました。特にコーア・クリントの事務所では、それぞれの 仕事や製品に求められる機能の重要性、そしてシンプルなフォルム、受け継がれてきた伝統技巧への配慮と、デザインの現場で必要なことを学んでいます。モーエンス・コッホがデザインした家具のほとんどは、使用目的、使用する場所を明確に考慮してデザインされています。コッホのデザイン手法の特徴は、求められる機能の入念な調査とシンプルで最適な解決策の模索。数字データが 大きな役割を担っています。基本となる構造にフォーカスし、伝統的な装飾はほとんど見られません。飾り立てることを目的とした意匠は、モーエンス・コッホのデザイン哲学には存在しません。機能と使用目的がデザインの出発点となっているのです。 1928年にデザインされ、1932年から製作が開始されたモーエンス・コッホの代表作ともいえる、モジュール式の書棚。この発案の原動力となっているのも、数学的なアプローチです。通常の書籍の大きさをもとに割り出したシサイズを基本にした、シンプルなモジュール式の書棚。もともとモーエンス・コッホの自邸の小さな書斎で、自由自在に使用できる書棚としてデザインされたもの。様々な組み合わせが可能です。まさにクリントの下で学んだデザイン哲学を体現したものと 言えます。発表から80年以上たった現在も、書棚の最高峰として君臨しています。 さらにモーエンス・コッホの作品で多く見られるのが、カール・ハンセン&サンのコレクションにもなっている、折りたたみ式の家具シリーズ。いずれも優れた機能性と高いクラフトマンシップで知られています。日常における使用目的を満たし、モダンなライフスタイルにもマッチする、場所を取らない家具となっています。 モーエンス・コッホは1925年芸術アカデミーを卒業。後に母校の教授に就任(1950-1968)しています。また、Eckersberg メダル (1938年) 、C.F Hansen メダル (1963年) 、ID Prize(1992年)と、数々の賞に 輝いています。