様々なスタイルでの座り心地を追求し、1987年に完成したウェグナー後期の傑作「PP68 アームチェア」。

このチェアはもともとDSBフェリーのためにデザインされていたが、DSBは最終的にウェグナーの別モデルPP208を採用することになった。
その後、ウェグナーとPPモブラー社のピーターセンはデザインを改良し、PP68の製造を始めたのである。
浅く掛けても、深く腰掛けて背もたれよりヒップ部分が突き出た状態でもフィットし、まさに「座り心地」を追求したウェグナーならではの作品である。

後脚2本だけで肘掛の機能を持つ笠木を支える構造は、過去のウェグナーの代表作にも多く見られるが、製作にはコストと職人達の腕が必要である。
この作品は１本の木材を蒸気熱で蒸して曲げることに成功し、コストの大幅な節約と比類なき耐久性を持った椅子としても評価が高い。
また、当時の流行であった短いアームがテーブルの下にもぐりこむようにデザインされており、ダイニングテーブルとの相性も非常によい。

このPP68はペーパーコードとなっているが、座面がレザー（またはファブリック）仕様のPP58というモデルもあり、ともにPPモブラー社の看板商品である。

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